先生の授業受けてみて企画

私たちヒトを含めて生物は、酸素なしでは生きることができません。ところが、酸素があるからこそ、いろいろな病気にかかってしまうことが分かってきました。酸素分子は活性酸素という反応性の高い分子に変わって、私たちの細胞を構成している物質を攻撃して”酸化”障害を与えます。その結果、細胞の機能は損なわれ、細胞死に至ることもあります。このような状態を”酸化ストレス”とよんでいます。酸化ストレスが血管で起こると動脈硬化の発症に、脳で起こるとアルツハイマー病の発症につながる可能性が示されています。こんなことが身体のあちこちで起こっては困るわけですが、そこはうまくできていて、私たちの身体は、酸化を抑制する”抗酸化”のシステムを備えて、酸化ストレスに抵抗しています。これでひと安心、と言いたいところですが、そういうわけにはいきません。”抗酸化”が過剰に働くと”抗酸化ストレス”が起こってしまいます。抗酸化ストレスが起こると、糖尿病を発症したり、症状が悪化することなどが知られています。つまり、”酸化”と”抗酸化”のバランスがとれている状態が身体を健康に保つために大事だということです。酸素に限らず、自然の事象には両面があります。科学を正しく理解して、わかりやすく伝えることの大切さについて講義をします。